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【保育士・看護師向け】 幼児の睡眠(夜泣き)と食事に関する指導用素材・知識まとめ



 睡眠不足は肥満、糖尿病、高血圧、認知症など広範囲に影響し、さらには寿命も左右します。身体への影響だけでなく、情緒の発達や学業成績や仕事の効率も左右します。

 これらの観点からも、睡眠科学を利用し、正しい生活習慣を取り入れることが、子どもの健やかな成長を促すことに繋がります。

 

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この記事の内容

 

 

 

幼児の睡眠不足によって生じる影響

 睡眠不足になると、以下のような影響が現れます。

 

・記憶力の低下

・集中力の低下

・反射神経も低下

・情緒の不安定

・肥満のリスク(睡眠不足を継続した場合)


 睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。

 この成長ホルモンによって、骨や筋肉、神経の形成が促されます。つまり、睡眠が不足するということは、子どもの成長に直接的な影響があるという事になります。

 人間の生活は、日中の活動時間と夜間の睡眠時間が関連し合い、生活リズムを形成しています。

 

 


子どもの食事と睡眠の意外な関係

幼児(1~6歳)の夜泣きの原因

 夜泣きの原因には、様々な原因がありますが、その一つに睡眠に必要な栄養素が足りていない、もしくは夕食に原因があるかもしれません。


 皆さん夕食の時間は何時くらいでしょうか?夕食を食べさせ過ぎていたり、甘いものをあげたりしていることはありませんか?
「食事」と「睡眠」は、全く違う生命活動にみえて、実は大きな関係があります。

 


トリプトファン足りてますか?

 質の良い睡眠のためには、「トリプトファン」という必須アミノ酸が必要不可欠です。トリプトファンは最終的に、睡眠ホルモン「メラトニン」に合成され、夜の眠りを促します。しかし、すぐに睡眠ホルモンに合成されるわけではありません。


トリプトファンの多い食品

 ・米、パンなどの炭水化物

 ・鶏肉

 ・卵

 ・ツナ

 ・大豆製品

 ・バナナ

 

 特にこれらの食品にトリプトファンが多く含まれているため、意識的に食事に取り入れることをオススメします。また、トリプトファンは糖質(※米やパンetc)と摂取することで吸収効率が上がります。

 おすすめメニュー:納豆ご飯、しらすと鰹節を醤油で味付け+ご飯 などなど… 

 

 

 

 


子どもの睡眠を妨げる食習慣

カフェイン

 夕ご飯の時やお風呂上りに、これらの食品をあげているご家庭はいらっしゃいますでしょうか。

 

 ・チョコ

 ・緑茶

 ・コーラ、サイダーなどの清涼飲料

 ・ココア

 ・栄養ドリンク

 ・コーヒー牛乳

 これらにはすべて全て、子どもには多すぎる量のカフェインが含まれています。よく言われることですが、カフェインは子どもの成長に悪影響を及ぼします。

 

 カフェインは交感神経を刺激し、興奮状態になることで眠気や疲労が感じられなくなる作用があります。さらにカルシウムの吸収を妨げ、大切な骨が作られなくなるという影響もあります。

 

 特に子どもにはカフェインの影響が出やすい傾向があります。その理由が以下の通り。

 

 ・尿として体外へ排出する能力が低い。

 ・カフェインの感受性が高い

 

 以上の理由から、少量のカフェイン摂取だけでも、その後の睡眠を妨げる要因になります。カフェインの持続時間は約4~8時間なので、日中もなるべく子どもにカフェインの含んだ物を与えるのは控えましょう。

 

 


糖分の問題

 夜泣きの原因に「甘いもの」も関係しています。

 アイス、チョコなどのお菓子、砂糖の入ったヨーグルト、ジュースなどを飲んだり食べたりすると、血糖値が急激に上昇してしまいます。

 

 血糖値を下げるために分泌されるのが「インスリン」というホルモンですが、これによって一気に血糖値が下げられると、今度は体が再び血糖値を上げようとして通称「攻撃ホルモン」、「アドレナリン」を分泌させます。アドレナリンは脳に興奮作用をもたらすため、夜泣きの原因になりやすい。

 

 

夜泣きにジュースは絶対NG!

 液体であるジュースは、糖の吸収が早く、そのぶん血糖値が急激に上昇します。すると、インスリンとアドレナリンが短時間で交互に分泌され、脳が興奮し夜泣きが生じやすくなります。

 

お菓子やジュースは、昼間の決まった時間に適量を与えるようにしましょう。

また、夜の安眠のために、夕食後や入浴後の甘いお菓子やジュースは控えるようにしましょう。

 


消化の問題

 基本的に人間の眠気は体温が下がるタイミングに合わせてやってきます。そのため、就寝時間が近づいたら体温を上げないように気をつけるのが安眠の基本原則です。

 

就寝前の体温上昇の原因

 

 ・入浴時間

 ・遊びによる興奮

 ・食事

 

 

 

 

食事と体温の関係

 胃の中に食べ物がたくさん残っていると、胃の消化活動が活発になり、体温が下がりにくくなります。つまり、胃の中に滞留しやすい消化の悪い食べ物は、子どもの寝つきを悪くし、安眠を妨げやすいといえます。

 

 特に脂肪の多いお肉(豚肉、ベーコン、ソーセージ)などのたんぱく質や脂質が中心の食事は消化されるまでに時間がかかります。

 完全に食べ物が消化されるまで待つ必要はありませんが、夕食はできれば就寝時間の1時間半~2時間前くらいには済ませておくと、より眠りにつきやすくなります。

  また、胃の中にたくさん食べ物が残ったままだと、寝つけたとしても眠りが浅くなります。

 

夜中に目を覚ましやすい

 ↓

眠いのに熟睡できない

 ↓

夜泣き

 

 さらに、睡眠本来の役割である脳と身体の休息の効果も下がり、たくさん眠ったはずなのに「なんだかすっきりしない」という違和感から、起きぐずりの原因にもなります。

 

 


夕食の時間は子どもに合せる

 夕食時間は大人の都合で変えてまうと、夕食が遅くなります。すると、必然的にその後の入浴時間や就寝時間も遅くなってしまいます。

 夕食を食べ始めるのが19時を過ぎてしまうと、就寝は早くても22時頃と考えられます。これでは遅すぎるため、できれば夕食は17時前後に済ませるのが理想的です。20時頃には部屋を暗くすると、メラトニンの分泌が促されます

 

 

 

どうしても夜遅くなってしまう場合

 夜はテレビを付けないようにするだけでも寝付きがよくなります。
夜間に光を見てしまうと、メラトニンが分泌されにくくなり、睡眠も不安定になります。

 

 

早起きには朝の光

 私達の身体には体内時計があり、24時間10分のリズムを平均的に刻んでいると言われています。それを24時間のリズムに修正するのが朝の光。朝起こす時、朝の光にあててあげましょう。
光を感じることで、メラトニンの分泌が抑制され、代わりにセロトニンが分泌されます。

 

セロトニンの効果

 ・脳と身体を覚醒させて日中の活動を活発に

 ・心のバランスを整え機嫌の良い状態に

 

 昼間はセロトニンを分泌ししっかり活動し、夜はメラトニンを分泌ししっかり眠る。

この生活のリズムが子どもの成長を助けます。

 

 


セロトニンの分泌を増やして睡眠リズムを作る

 日中の活動を機嫌よく活発にするセロトニンの分泌を増やすためには、太陽の光と共に、食事も重要です!セロトニンの分泌を促すポイントとして以下の3点を抑えておきましょう。

 

・朝の光をあびる

・朝ごはんをよく噛んで食べる

・日中身体を動かして遊ぶことが



子どもが熟睡できるポイントのおさらい

 ・バランスのとれた食事

 ・早めの夕食

 ・カフェインの摂取量、時間

 ・糖分の多い食品を避ける

 ・夜はテレビやスマホなどの使用を避ける

   お風呂⇒夕食⇒静かな遊び(ブルーライト無し)⇒お布団

 ・寝だめなどで、生活習慣を変えない

 


終わりに

 現代に暮らす以上、睡眠の変化は致し方ない部分もあります。ですが、子どもの睡眠は親が調整してあげる必要があります。まずは、夜に眠くなって、決まった時間にしっかり寝ることのできる環境作りが大切です。

 小学生以下であれば2週間以内に睡眠リズムを修正できます。お子様が夜ふかしをしていたり、睡眠不足な様子が見られる場合、できるだけ早めに改善させてあげましょう。

 費用不要で、将来にわたり有効な睡眠習慣を、ぜひ生活にお役立てください。