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双極性障害の看護過程、看護計画(OP、TP、EP)のための必要な情報収集(観察項目)とアセスメント、主な看護計画と看護問題に対する成果目標達成のための具体策例

 

本記事の内容

 

 

 

双極性障害の患者の看護に必要な情報収集とアセスメントの視点

1.患者背景

①現病歴

 ・発症の時期、年齢

 ・うつ状態と躁状態の経過

 ・自殺企図の有無・状況

 ・入院、治療の経過

 

②既往歴

 ・糖尿病

 ・肝障害

 (補足) うつ状態と躁状態ではもとより、各病期(初期、増悪期、回復期)によっても看護の内容が変化する。日々の言動や生活行動の変化の観察および他職種でカンファレンスした後、評価をする。

 

 各病期が長期化かつ反復化していしまうと、周囲の理解が困難であるために気分の変調だけでなく、社会的評価の低下もまねく。病状、治療の経過や経済的状況、家庭環境など患者の背景の情報収集をする。

 

③職業、経済的状況

 

④家族歴、家庭環境、成育歴

 

⑤病前性格

 (補足) 家族歴などの遺伝的要素、病前性格や、環境の変化、精神的衝撃、身体疾患などの状況要因についても把握する。

 

 


2.全身状態

①栄養状態

 ・食事内容、量、食欲

 ・身長、体重増減と程度

 ・BMI

 ・皮膚、口腔粘膜の状態

 ・検査データ(TP、Alb、コレステロールなど)

 (補足) うつ状態、躁状態ともに食事摂取量の不足から栄養状態の低下や脱水となりやすい。食事摂取量の低下の原因は、薬剤の副作用や身体疾患に起因することにも留意してアセスメントをする。

 リチウム治療中は、血中濃度が有効レベルを超えるおそれがあるため、測定値を把握する

 

#A 食物を摂取出来ないことに関連した栄養摂取/消費バランス異常:必要量以下

 

 


②代謝状態

 ・代謝性疾患の既往歴

 ・検査データ(血糖値、HbA1c、肝機能)

 

③バイタルサイン

 

④排泄状態

 ・排便、排尿の回数・性状、支障因子と対策

 (補足) 排泄絵の影響は、身体活動の低下や食事・水分の摂取不足による食物残差の減少、薬物療法を受けている患者では、抗コリン作用による便秘が生じやすくなる。抗コリン作用は、排尿困難を生じる可能性がある為、排泄状態を観察する必要がある。

 

 

 


3.活動・休息のバランス

※うつ状態、躁状態で異なる

①ADLの程度

・更衣

・整容

・入浴(清潔状態)

 
②睡眠状況

 

③コミュニケーション、活動

 (補足) うつ状態の初期の軽度の抑うつ感は、臥床して過ごしていても、脳は活動をするため、中途覚醒や想起覚醒などの睡眠障害につながり、疲労感を感じるようになる。また、意欲の低下と倦怠感の為、入浴や整容などの日常生活動作が億劫になる。身だしなみが整うことは自尊心の維持に必要である。内服薬の副作用や精神運動制止などの状態によって、とっさの危険の察知や判断が難しいため、転倒などの事故に注意する。

 

 躁状態の場合、活動性の亢進のためセルフケア行動がとれなくなり、個人衛生に気付かず関心が持てないことがある。服装は派手な色使いや状況に即さないものであったり、何回も更衣を繰り返したり、派手な化粧になったりする。集中ができず、多弁多動であり、睡眠欲求も減少するが、疲労感を感じることがないため、活動と休息に障害をきたして不眠となる。

 また、急性期では、易怒性や攻撃的で自己の客観視が困難であるため、自傷他害を生じる。さらに気分の高揚による病識の欠如により、無断離院をしようとすることも珍しくない。あらゆる日常生活ケアの側面と行動を観察し、落ち着いた環境を提供する。

 

#B 抑うつに関連した不眠

 

 


4.知覚、認知の状態

[鬱状態の時]

①感情や思考の状態

 ・悲観的、過小評価、焦燥感、罪悪感、自尊感情の低下、判断力の低下など

 

②希死念慮、自殺企図

 

③薬物治療の状況

 

④日常生活行動・表情

 

⑤倦怠感や衰弱

 

⑥ストレス対処能力

 ・薬剤の依存度

 (補足) うつ状態の場合、気持ちがふさぎ込み、重度の疲労感や不安・焦燥感、精神運動性の興奮や抑制の反復などを伴う。集中力や意思決定能力の低下も思考も悪い方向へと考え、肯定的な部分を無視するなどの認知のゆがみが観察される。活動に関する関心や喜びの感情の低下、罪悪感や自尊感情の低下などから、希死念慮を抱くようになる。これらの症状は、日内変動が観察される。

 初期と回復期は、鬼神遠慮や自殺企図の可能性が高い。そのため、行動や言動を注意深く観察し、常に自殺の危険性を把握する。

 

[躁状態の時]

①感情や思考の状態

・高揚した気分、疲労喪失感、易刺激性、易怒性

 

②注意散漫、観念奔逸

③薬物療法の状況

④多売傾向

⑤病識の有無

⑥他者とのトラブル

⑦ストレス対処能力

 ・アルコールの依存度

 (補足) 躁状態の場合、嗜好の回転が速くなり、多弁となる。話の筋が脱線していく観念奔逸が観察され、話のまとまりがなくなる。自分の能力に過剰な自信を示し誇大妄想をもつこともある。また、注意散漫となり、自分の行動の予測が出来ず、危険行為に及ぶことがある、病識に欠けているため、治療の必要性が感じられず、拒薬となる事がある。

 

 初期は易怒的となる事も少なくないため、患者の行動に対しては制止や注意をするときは、穏やかにゆっくりと対応するとともに、静かな環境を提供する。薬物療法の継続に向けては、服薬状況や内服することへの発言を観察し、患者の理解が得られると判断したら、薬剤の必要性や継続について情報提供する。

 

 #C 精神疾患に関連した自尊感情慢性低下リスク状態

 

 
 うつ状態では、抑うつ感情と相まって自殺念慮を抱くことが多い為ため、発症初期と回復期にはとくに自殺企図に注意する。躁状態では、注意力が散漫で自己の過大評価傾向となり、身体損傷を生じる危険もある。自殺や事故の危険がないか、生活面を通して注意深く観察するとともに、人も含めた環境調整を行う。

 

 

 

 

5.周囲の認識・支援体制

①対人関係

・他の患者やスタッフとの接し方や動作

 (補足) うつ状態が悪化すると、日常生活に様々な支障をきたす。家事や仕事がおっくうとなり、悪化すると、仕事の効率が上がらないのは自分の責任だと責めるようになる。そして、辞職や自殺を考えるようになる。

 躁状態の場合、軽度ならば家事や仕事を精力的にこなすが、徐々に刺激に対して敏感になり、他者とトラブルを起こすことがある。

 

②家族関係、役割

 ・キーパーソン、パートナー、子どもの存在


③家族の疾患への理解度、言動

 (補足) 再燃を繰り返すことで、役割を遂行できないことが、ひいては家族の仕事や社会的活動、余暇にも影響する。

 家族は負担感の高まりから、負の感情表出が大きくなり、患者が影響を受けるという悪循環に陥る場合もある。適切に支援が出来るようになり、家族の心情や疲弊度を把握する。

 

④社会的役割

 ・職業、役職、役割

 

⑤経済状態

 

 

 

 


双極性障害の患者の主な看護診断

#A 食物を摂取出来ないに関連した栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

患者の目標(成果目標)

 ・食事摂取量が増加する

 ・体重が増加する

 ・栄養状態を示すデータが改善する。

 

 

#B  抑うつに関連した不眠

患者の目標(成果目標)

 ・睡眠時間が増加する

 ・臥床し休息がとれる

 


 

#C 精神疾患に関連した自尊感情慢性的低下リスク状態

患者の目標(成果目標)

 ・自分の思いを表出することが出来る

 ・自己避難的な言動がなくなる

 ・将来の計画について話すことが出来る

 


#D 統合機能の障害に関連した身体損傷リスク状態

患者の目標(成果目標)

 ・うつ状態の場合:自殺企図、自殺念慮が無くなり、生への願望を自然な表情で話すことが出来る。

 ・躁状態の場合、興奮していることを自覚し、コントロールすることが出来る。暴力や攻撃行動を示さない。

 

 

 

双極性障害の患者の看護計画例

#C に対する観察計画(OP)

 

(1)自己尊重低下の状態

①自己のとらえ方

 ・自己卑下、過小評価、自己を否定する発言の程度
 ・自己像に対する主観的満足度、希死念慮の有無

 

②不安やうつ状態

 ・無力感、焦燥感、機嫌の良否

 (補足) 不安の程度を把握する。自己尊重の低下や自責感の強いときは、自殺の危険性もあるため注意深く観察する。

 (根拠) うつ状態の重症化に伴い、マイナス思考となり自己尊重の低下が強くなる。

 

③身体症状

 ・頻脈

 ・頻回な呼吸

 ・痛みの症状(頭痛、腰痛、肩こり、背部痛、関節痛など)

 (補足) うつ状態の悪化に伴い、身体症状は増大し、部分的症状から全身症状へと発展していく。一つの症状にこだわりをもつなど、症状の出現の仕方は人によって様々である。そのため、日常生活における観察を十分に細かく行う。

 


(2)病識の有無

①患者・家族の疾患に対する認識と理解の状況

②患者・家族の薬物療法の必要性、薬剤に対する認識

 (補足) 治療に継続するためには、患者・家族が疾患や薬物療法に対する正しい知識を獲得する事が必要である。

 


(3)生活に及ぼす影響

 

 ①ADL(食事、排泄、保清、整容)

 (根拠) 日常生活はうつ状態からのみならず、薬物療法による副作用からも影響を受ける。
 
 ②睡眠状態

 

 ③活動、関心の状況

 ・対人関係、周囲の人への関心の程度:家族や看護師、他の患者との会話状況

 ・活動に対する意欲の程度

 (根拠) 疲労感や自信喪失、集中力の低下や思考力の低下などにより、活動や周囲への関心が低下する。 

 

(4)薬物療法の効果、反応

 ①使用薬剤の効果と副作用の有無・程度

 ・抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠薬

 (補足) 抑うつ感への薬剤の効果は、睡眠障害や食欲不振などの症状回復に比べて遅い。途中で休薬すると、再発や慢性化に繋がる為、確実な内服管理を行う必要がある。
 
 ②休息の程度

 ③レクリエーションへの参加状況

 (根拠) 抗うつ薬の副作用には、抗コリン作用による口渇や便秘、尿閉、ふらつき、起立性低血圧、心電図異常などがある。抗精神病薬では便秘傾向となることが多い。

 

 

 

 

#C に対する看護ケア計画(TP)

(1)うつ症状を悪化させないための援助

 ①患者の思い、訴えを傾聴する

 (補足) 患者が辛く困っていることを十分に傾聴することにより、不安は軽減し、信頼関係を構築する基盤ともなる。さらに、解決すべき問題の共有を図ることが出来る。判断されることは、患者の思いの表出を妨げてしまうリスクがあるため、傾聴の姿勢が重要である。

 

 ②不合理な思いや感情にたいしても判断せず、否定的な態度をとらない
 

 ③正確な情報を提供することにより、他の見方が出来るように客観的事実を伝える。

 (補足) 現実的な気付きを促す。患者自身が歪んだ認識を修正出来るように関わる。その際、「否定された」と患者が感じないように、会話の中で自然に伝える。

 

 ④患者との約束事は必ず守る
 (根拠) 自己の重要性や価値観んが高まる。

 

 ⑤環境の調整

 ・刺激の少ない落ち着いた環境整備

 ・危険物の除去(患者の所持品は説明をして預かる。)
 (補足) 休息が出来るように静かな環境を整える。希死念慮が生じていないか、日常の会話の中で常に注意を払う。

 


(2)身体症状を悪化させないための援助

 ①薬剤の副作用や、患者の訴えている身体症状への援助

 (補足) 患者の訴えている身体症状の緩和に努めることで、うつ状態の悪化を防ぐ。訴えが無い場合は、薬剤の副作用や全身状態の観察を十分に行い、対応する。

 

 ②疲労感、全身倦怠感を訴えるときは休息を促す
 (補足) 休息は治療であることを説明し、罪悪感をもたないように休息を促す。

 

 

(3)自己尊重を高めるための援助

 ①気分転換活動への援助

 ・一緒に散歩をする、テレビを観る。

 (根拠) 性格特性として、几帳面、他者への配慮などがあり、疲労感があっても無理をして体力を消耗し、より症状が悪化する場合もある。

 

 ・興味関心のある話題の提供、会話をする

 (補足) 話をする時間は30分程度とし、適宜、疲労感を尋ね表情を観察しながら話をする。

 うつ状態の場合、午前中は気分が悪く、午後になると良くなるという日内変動があるため、気分転換活動は調子のよい時に勧める。

 

・レクリエーションへの参加を促し、ともに楽しむ

  (補足) 同じ現実的場面の共有で触れ合うことが出来る。

 

②リラクセーションをはかる

 ・入浴、足浴、音楽鑑賞

 (補足) リラックスし、身なりを整えること、自分で行えることが、自尊感情を高める一助となる。援助の際は、患者の好みを確認して行う。

 

③整容への支援

 

④出来たことをさりげなくほめる

 (補足) 入院時と比較した生活行動の変化を伝えるなど、さりげなく褒める。

 


(4)薬物療法の確実な施行

 ・支持の薬剤の服用をm確実に施行する。

 (補足) 抗うつ薬の効果は個人差があり、効果がない場合や副作用が強い場合は、他の薬剤に変更されるため、治療の検討を行う上で確実に服用する。

 

 

 

 

#C に対する教育計画(EP)

(1)疾患を理解し、現状を受け止めるための援助

 ①辛い思いを傾聴し、共感を示し、休息を勧めながら現状を肯定的に受け止めることが出来るように説明する。

 (補足) 医療者が患者の苦痛やつらさのありのままを受け止める事が始まりであり、そこに共感を示すことが患者の認識を高めることにもつながる。

 

 ・身体症状や、うまくいかない状況はうつ状態からくるものであること

 ・休息は治すうえで重要であり、治療であることを説明する。

 (補足) うつ病はゆっくりではあるが、必ず治ることを伝える。

 

 ②疾患、服薬に対しする説明

 ・薬剤の効果と発言時間、個人差など

 

 ③家族に対して、患者が休息をとることに罪悪感を持たないように、休息の必要性、受容的・共感的な態度の必要性を説明する。

 (根拠) 双極性障害の患者は、うつ状態の苦しさから回復過程の裏に、躁状態に転じないか不安を抱えている場合が多い。病相を繰り返すたびに患者を取り巻く社会からの信頼関係や偏見などが変化し、社会生活水準が低下する場合が多く、それにより自尊感情も低下する。

 

 

(2)活動に対する説明

 ①活動制限はないため、希望があれば伝える。
 (補足) 家族の現状の認識、思いも傾聴した上で、理解状況に応じて説明する。

 

 ②活動中に疲労感がある場合や、気分の落ち込みが生じている場合は、我慢しないで活動を中止する。
 (根拠) 焦りが強い場合は、活動量が増えることも考えられる。

 

 


#D に対する観察計画(OP)

(1)自傷のリスク

 ①自殺企図の既往、状況、希死念慮の有無

 (補足) 自殺企図の既往がある場合、繰り返す可能性が高いため、注意する。

 (根拠) 患者の2/3は自殺念慮を持っていると言われている。自殺を防ぐことが最も重要度が高い。

 

 ②抑うつ状態、無力感、過小評価、焦燥感の有無
 (補足) 焦燥感を持つ場合には、発作的な行動をとりやすい。抑うつ状態の場合には、常に自傷行為のリスクがあることを念頭に置いて観察する必要がある。躁状態の場合でも、うつ病相へ移行することがあるため、抑うつ感の有無や表情を観察する。

 

 ③前兆となる反応、行動の変化

 (根拠) 突然の上機嫌や荷物の整理などの行動は自殺を決心している場合がある。そのため、自殺企図予測の手がかりになる。

 

 ④病相の経過 (うつ状態か、躁状態か)

 ・時期 (初期、増悪期、回復期)

 (根拠) 急性期の抑制が強い時期には活動そのものが困難であり、希死念慮を行動に移すことは無いが、気分の回復に先行して、活動の方が早く回復していくため、回復期には自殺が起こりやすい。観察の行き届かないときに自殺の危険性は増す。

 

⑤自由時間の過ごし方

 

⑥病棟スタッフの少ない時間帯の有無

 

 

(2)環境整備

 ①危険物の有無、

 ・刃物

 ・ベルト、ヒモ類

 ・ためた睡眠薬

 ・化学薬品など

 

 ②刺激物(騒音、照明など)

 ③周囲の人との関わりとその反応

 ④反応を示す情報

 (補足) 刺激の少ない、十分な休息が摂れるような環境への配慮と、自傷行為を防止する為にも危険物がなく、観察の行き届いた安全な環境を整備する。
 
 (根拠) うつ状態の場合は、心身ともに疲弊しており、自殺の危険性が高い。躁状態の場合には、注意力の散漫や興奮、かつ病識の欠如による無断離院や事故のリスクがある。

 


(3)薬物療法、その他の治療法

 ①抗うつ薬の効果、副作用

 (補足) 一定期間の服用期間を経なければ薬効を得ることが出来ない薬剤が多い。そのため、内服の継続と管理を徹底する。

 

 (補足) 抑うつ気分や精神運動制止などの状態に加え、治療の副作用(眠気、起立性低血圧など)により、とっさの危険の察知や判断、行動が出来ないため、注意を促す。

 

 (根拠) 三環形/四環系抗うつ薬を中心に治療してる場合、その副作用(口渇や便秘、尿閉など)の苦痛から、服薬を拒否することも少なくない。

 

 

②電気けいれん療法の効果、副作用

「電気けいれん療法の3つの適応」

(1)自殺の危険が迫っているが、薬剤の効果発現まで時間の余裕がない場合

 

(2)身体的な問題があり、薬剤の副作用に耐えられない場合(例:肝障害など)

 

(3)昏迷状態になり拒食が続いている場合

 (補足) 電気けいれん療法行う場合は、治療直後に認知障害や心血管性合併症など、精神症状も身体活動も予期せぬ変化が起こりやすく事故になりやすいため、注意する。

 

 

 

 

#D に対する看護ケア計画(TP)

(1)環境の整備

 ①危険物を排除した上で、休息がとれる落ち着いた環境の整備

 (補足) 身の回りの物品に、危険物が含まれていないか確認する。静かさ、照明の明りなどにも配慮する。

 

(2)細やかな観察

 (補足) 心理的にストレスとなるような情報との接触にも注意し、必要に応じ、電話や面会を制限する。

 (補足) 身の回りのケアを通して観察・対応する。

 (補足) 可能であればナースステーションに近い部屋とし、状態の確認を頻回に行う。スタッフの数が減少するとき、食事時間、多忙な状況下など複数のケアに従事している時は、特に注意する。

 (根拠) 回復への焦りが強い場合は、希死念慮が生じることがあり、自殺を思い留まることが困難ともなる。

 

 

(3)患者の思いを傾聴

 ①思いを表出する場を設ける

 (根拠) 自分の思いを表出することにより、ストレスが軽減する。適切な感情表出を学習・実践するためには、思いの表出を促す必要がある。

 

 

(4)生活指導

①レクリエーション、生活療法などとともに実施する。

 

(5)自殺企図、希死念慮がある場合、生命を守る必要性のもと、隔離や拘束を実施

 (根拠) 隔離、身体拘束に関しては、精神保健福祉法第37条第1項に基づき行う。隔離・拘束により、現実的な価値体系の方向へ導く手助けとなる。

 (補足) 自傷から患者を保護し、尊厳を守り、行動制限がある必要性を十分に説明し、苦痛に理解を示しながら対応する。

 

保護室隔離に必要な看護についての記事 

www.komattahito.com

 

 身体拘束についの記事

www.komattahito.com

 

 

 

 

 

 

#D に対する教育計画(EP)

(1)肯定的な自己評価、現実的な目標の設定を促進

 (補足) 肯定的な評価や現実的な目標設定がある場合は、それを自身で認められるように関わり、自尊感情を高める。

 

(2)服薬や治療の重要性を患者・家族に指導

 (補足) 病相の回復過程についての正しい理解と服薬指導、症状マネージメントや 効果的な対処能力を獲得できることを目標とし、個別性に応じた心理教育に取り組む。家族の心理状況も考慮し、指導的になりすぎない関わりで接する。

 (根拠) 再発を繰り返す患者の家族も負担が大きくなり、患者への感情表出度が高まっている背景もある。