薬物療法を行うにあたって、薬物対して不安や疑問を抱いている患者は少なくない。その為、薬物に関する分かりやすい説明や服薬への根気強い説得が大切となる。薬物と副作用の知識は必須である。したがって、今回は薬物療法の副作用として頻出である錐体外路症状に焦点を当てて学習する。
錐体外路症状とは
筋の緊張などや微細な運動など、不随意的に調整しているのが、錐体外路系神経の機能であるが、抗精神病薬はしばしばこの微妙な機能を障害するため、下記のような錐体外路症状が出現してくる。ただし、これらの症状には発現にかなり個人差があり、また、薬物による違いも認められる。
①パーキンソン症状
◎主たる症状
・筋強剛
・運動減少
・振戦
・流涎
・小刻み歩行
・すり足歩行
・仮面用表情
動作は緩慢となり、前傾姿勢で小刻みな歩行となり転倒しやすい。振戦が強まれば、書字は震えてつたなくなり、箸も上手く使えなくなる。衣服の着脱も容易ではなくなる。
服薬後、数日から一か月前後に出現することが多い。
②アカシジア(静座不能)
◎主たる症状
・下肢のムズムズ感
下肢のムズムズ感の為、焦燥的となり、座っていたり、横になっていられなくなる状態。患者にとってはかなりの苦痛を伴う。
服薬後、数日から一か月前後に出現することが多い。
③急性ジストニア(ジスキネジア)
◎主たる症状
筋緊張性の運動異常
・頸部が側方や後方につっぱっる
・舌が突出する
・眼球上転
・身体がねじれる
服薬後、1~3日で出現することが多い。
④遅発性ジスキネジア
◎主たる症状
・口唇周囲に出現する口をモグモグさせる運動
※睡眠中には観察されない。ストレスや緊張で症状が悪化しやすい。
何かを噛んでいるよな常同的な不随意運動。非可逆性であり、現在は根治療法がない。抗精神病薬と併用される抗パーキンソン薬の長期服用によっても生じるという説がある。
服薬後、数カ月から数年以上の長期にわたる服薬後に出現することが多い。
①②③の錐体外路症状を予防する目的で抗コリン系と抗ヒスタミン系の薬が抗パーキンソン薬として使用されている。
しかし、副作用止めによる副作用(便秘、口渇、尿閉、せん妄)にも注意する必要がある。
ex)
抗コリン系 :アキネトン(ビペリデン)、アーテン(トリヘキシフェニジル)
ヒスタミン系:ピレチア、ヒベルナ(プロメタジン)