精神科ナースの本気メモ

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悪性症候群の病態と特徴、治療と看護についてのまとめ

 

はじめに

 悪性症候群は抗精神病薬の最も重篤な副作用である。発熱、錐体外路症状、意識障害、自律神経不安定症状を伴う重篤な向精神薬の副作用の一つである。上記の副作用の他、発汗、頻脈、嚥下障害などもみられ、適切な処置がなされなかった場合、死に至る。

 

 

悪性症候群が起こりやすいタイミング

 1.  抗精神病薬投与後2週間以内
 2.  抗精神病薬の長期投与あるいは増量をした場合
 3.  抗パーキンソン薬の急激な中止や減量

 

 

 

発症率と死亡率

 発症率は抗精神病薬服用者の0.1~0.4%。死亡率は最近ではおおよそ4%程度で低下傾向。

 

 

主要な症状

◎ 38℃以上の発熱
  ※悪性症候群の発熱の場合、解熱薬が効きにくいという特徴がある。
◎ 筋強剛
  ※筋強剛とは、筋固縮と同義。患者自身は無自覚だが、他者(医師や看護師)が患者の腕をとって曲げ伸ばしした際に、他者の腕に違和感を感じることで症状の有無を確認することが出来る。正常な筋肉とは異なる特徴的な抵抗力を感じる。パーキンソン病でよくみられる。


その他の症状
・発汗
・嚥下困難
・頻脈
・自律神経症状(血圧変動etc)
・意識障害
・血中クレアチンキナーゼ(CK値)の上昇
以上の症状などが見られる。

 

 

 

 

悪性症候群を疑った場合の対応

 与薬の中止し、主治医へ報告する。

 

 

 

治療と看護

 薬物治療中の患者に、原因のはっきりしない発熱、筋肉の異常緊張、自律神経症状が生じた場合は、まず悪性症候群を疑い、速やかに対応する必要がある。
 原因薬物の中止を下後、身体の冷却(クーリング、)脱水予防の為、補液をする。また、筋弛緩薬であるダントロレンナトリウム水和物(®ダントリウム)の投与をする。もし、処置が適切に行われなかった場合、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、急性腎不全へ移行し、死にいたことがある。体温、脈拍、呼吸、意識状態の観察に努め、水分・栄養の補給、体力の保持をはじめとした合併症の予防や身体の清潔を図り、患者の回復を援助していく。