精神科ナースの本気メモ

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【精神科看護ケア】患者さんと円滑なコミュニケーションを図り、正確な情報を得る方法

精神看護師“とらすけ”です!
 「患者との会話(コミュニケーション)が苦手です。」
 「患者の訴えが本当なのか妄想なのかわかりません。」
 「患者と普通に話しているつもりなのに、患者を怒らせてしまいます。」
 こういった悩みをもった看護師は少なくありません。患者との信頼関係の構築は、より迅速に患者から正確な情報を収集し、患者の状態の変化を察知する非常に重要なテクニックです。今回は、患者からより正確な情報を得つつ、円滑なコミュニケーションを図るための方法、得られた情報を解釈する為の方法をまとめましたので、ぜひ参考にしてみて下さい。

はじめに
~患者の症状を理解する~
精神看護では、患者の症状を確かめて、看護の方針を決定していきます。その為に、医師の診断を考慮した上で、看護の方針を立てます。看護の方針を決定するために、患者の症状の確認をしなくてはなりません。症状の確認を出来るだけ正確にする為に、患者とコミュニケーションを図る必要があります。
 例えば、患者が「私は天皇と会ったことがある。」といった際に、すぐに誇大妄想判断せず、以下のような方法で、患者の症状の確認を正確に行っていきましょう。
 
1. 患者が言った言葉をオウム返ししてみる。
患者が言った言葉を「天皇に会ったことがあるのですね。」とオウム返しにしてみる。このことで、患者は自
分の訴えをさらに主張することが出来るようになる。つまり、自身の症状について、さらに詳細な事柄を訴えることが出来る。または、「天皇に会ったことがあるのですね。」とオウム返しにした時、別の話題に移った時は「天皇に会ったことがある」という主張には重要性が低い可能性が出てくる。また、転導性の亢進(ある行為を持続して行うことが出来ない状態)とアセスメント出来る場合もある。
 症状の確認を正確に行うために、看護師の勝手な予想は排除する必要があります。患者が言ったことを繰り返すのは、患者の主張を否定も肯定もしないという理由に加え、看護師のかってな予想で患者の回答に影響を与えない目的もあるのです。

2. さらなる説明を促す
 患者の訴えの“オウム返し”だけでは患者がより詳細な訴えを出来ない場合のみ、さらなる詳細な説明を患者に促します。「天皇に会ったことがある話についてもう少し説明して下さい。」と促してみます。このとき、「もう少し説明して下さい。」といったような、あくまで中立的な立場を忘れないようにしましょう。この中立的立場をとることを怠ると、患者の回答に影響を与える可能性があるので注意しましょう。
 また、患者の訴えが妄想であるとアセスメントしていても、患者が自分の訴えの現象を“病気の症状”と理解し、受け入れているという確認ができない間は、「病気」や「症状」という言葉を患者の前で使わないようにしましょう。患者が「この看護師はなんでも病気の症状にしてしまう。」と印象付けられてしまうと、患者との信頼関係や今後の医療に支障をきたしてしまう可能性があります。

3. 患者の訴えが本当なのか妄想なのか判断がつかない時
 患者の訴えを傾聴する中で、“判断の根拠”を述べない時には、できるだけ柔らかい表現を意識して患者に「どういったところでそう思ったのですか?」と尋ねてみましょう。これは『なぜ?』という表現よりも柔らかい印象を患者に与え、同等の情報を医療者が獲得するためのテクニックです。
 精神科医療では、患者を傷つけない表現で疎通を図る必要があります。これは、看護師と患者の信頼関係の構築を円滑に行い、それによって、患者から情報をより早く得る効果があります。また、病気を受け入れる能力に乏しい患者に厳しい表現で会話をしてしまうと、治療を拒否されてしまう場合があるので普段から注意しましょう。

4.「〇〇といったようには考えられませんか?」
 患者がどの程度症状に支配されているかのアセスメントにこういった質問は有効です。こうった質問をすることで、患者の現実検討力の有無をアセスメントすることが出来ます。「〇〇と感じるが。××とも思える」と患者がリアクションした場合には、症状は軽度であると判断することが出来ます。
 一方、症状への確信が強く、思考の自由性の欠如、現実検討性の喪失が認められる場合は、日常生活への影響が懸念されます。

5.「その感じが生活にどんな支障がありますか?」
 このような質問をする際にも、可能な限り“症状”という言葉は使用しないように注意しましょう。あくまで中立的立場です。また、“眠れない”“集中出来ない”という反応があった場合には、その訴えを医師に報告し、薬物の内容を再検討してもらいましょう。